相方氏、クラフト・エヴィング商会が好きで新刊が出ると必ず購入しているのだが、今回ちょっと入手方法に難がある新刊が発行された。
発行元になる世田谷文学館のツイートを貼り付けるのが一番手っ取り早いので引用すると
金曜日、学校や仕事から解放された帰り道、書店や図書館で本を買って(借りて)、週末に読書する楽しみ。そうした、本との接し方や喜びをいま一度呼び覚まそう、そのための本をつくろうという趣旨で始まった企画が【金曜日の本】です。
— 世田谷文学館 (@SETABUN) 2015年11月10日
【金曜日の本】本のタイトルは、『おるもすと』といいます。吉田篤弘さんが、大切にあたため続けてきた小説です。定価1,600円(税込)で、1,400冊限定(再版予定なし)です。一文字一文字活字を組んで、昔ながらの活版印刷でつくりました。 pic.twitter.com/mi4GICXYCf
— 世田谷文学館 (@SETABUN) 2016年3月2日
【金曜日の本】『おるもすと』は、吉田篤弘さんと吉田浩美さんにとって、特別な作品です。篤弘さんが、「この小説をこの十二年間、ずっと書きつづけてきた。あるいは、この小説をこの十二年間、ずっと書けなかった。」と語る作品です。 pic.twitter.com/WZvMAfLbZy
— 世田谷文学館 (@SETABUN) 2016年3月2日
【金曜日の本】販売は、当館ミュージアムショップのみを予定していますが、4月5日からは通信販売も行います。ただし、店頭販売優先のため、完売時は通販もお受けできません。なお、予約や取り置きも受け付けておりません。ご容赦ください。 pic.twitter.com/0KXJjkb2SK
— 世田谷文学館 (@SETABUN) 2016年3月2日
という訳で、売切れてしまったら通販も無いという事なので確実に手に入れるには世田谷文学館に行かないといけないと。
しかし、今時イチから活版を組んで製本するなんていうのはなかなかお目にかかれないし、クラフト・エヴィング商會の作品を(相方の蔵書で背表紙は眺めているとはいえ)ほぼ読んだ事無い私でもこれは手に入れないといけないものだというのは分かる。
ただ、相方はこのところ(必要に迫られてのとはいえ)宿泊を伴う外出やお祝いごとが重なり東京まで出向いている余裕がない(そもそも3月末にラブライブのファイナルライブで東京に行くし)。
じゃあ私が行ってくるよ、と格好つけた訳でもないのだけれど、3月の3連休の中日の20日にいそいそと東京へ行ってきた。
元々、近い内に家のことを任せて一日どこか一人で遊びに行かせてもらう約束をしていたので、朝イチでこの本を買って午後からはいつものように鎌倉で江ノ電撮影をしようという魂胆。
京都から新幹線に乗り、品川で下車。
山手線に乗り換えて新宿へ。
JR東日本管内の発車メロディーは耳なじみがよくてどれも好き。
これを聞くと旅に来た、非日常だ、と思う関西人の私。
新宿からは京王線に乗車。
京王線、まったく記憶に無かったのだけれど以前に味の素スタジアムにサッカーを見に来た時に乗っていたんだった。
新宿という大ターミナルから出る電車なのだけど、発車して暫くすると車窓には普通の民家が立ち並び、東京は大都会といってもすこしターミナルから離れたら京都や大阪あたりの下町と大して変わらないのかな、なんて思ったり。
20分弱の乗車で目的の芦花公園駅に到着。
駅に着くまで「あしはな公園」だと思っていたら「ろか公園」と読むそう。
そして徳富蘆花のゆかりの地だとか。
漢字が違うからまったく気がつかなかった。
スマホを取りだしイングレスで通り道のポータルのUPVを取りながら歩く。
途中「成城石井」なんていうポータルがあったんだけど、只の・・・只のといっちゃ失礼か、(高級)スーパーがポータルになるくらいなら、田舎にももっとポータルを増やしてくれと思わないでもない。
5分ちょっとで目的の世田谷文学館に到着。
オープン前の入り口前は大行列。
でも私は知っていた。ここに並んでいるほぼ全員が開催中の浦沢直樹展目当てだという事を。
申し訳無いのだけれど、漫画好きの私だけれど浦沢直樹は殆ど読んだ事がないので完全スルー。
入場と同時に展示室に向かう人々から逸れ、一人・・・正確にはもう一人おられたのだけど、売店に直行。
かくして目的の品物を無事入手。
この在庫量だと売れ残って通販もあるかなー、なんて思いながら、文学館の外観写真も撮らずにさっさと駅に戻ったのでした。
合計3600円の本とレコードを買うために、交通費往復約2万5千円、滞在時間10分。
ネット書店が大手をふるうこのご時世にこの労力と費用をかけて本を買いに行くというのは、ある意味こんな機会でも無いとできない非日常で、それはそれでちょっと楽しい気分になった