8月。
子供は絶賛夏休み中。
今年は親が長期の休みを取りづらかったので、日帰りで熱海へ行ってきた。
京都からひかりに乗り、途中の停車駅は名古屋、浜松、静岡。
熱海まで約2時間。
早い。
駅の改札を出ると足元には大きな広告。
今回の旅のお目当て、MOA美術館で開催中の「井上涼展 夏休み!BYOBUびじゅチュ館」。
NHK Eテレの子供向け美術番組「びじゅチューン!」とのコラボ企画展。
びじゅチューン!については、我が家は子供をはじめ家族全員ファンで、これまでも関連作品鑑賞や企画展に行ったりもしていた。
そういえば、昨年の夏休みも東京国立博物館へびじゅチューン関連企画を見に行っていたのだけれど、このブログの下書きに書きかけで突っこんだままである。
今回は熱海という事で、慣れ親しんだる静岡の地・・・なのだけれど、熱海は乗り換えに使った事があるくらいでちゃんと降り立つのは初めて。
駅前からタクシーに乗り、駅の裏側の斜面のつづれ折りを登ること数分。
入館券を購入し、エスカレーターを何本も乗り継ぎ美術館へ。
このあたりのアプローチは徳島の大塚美術館を思い出させる。
MOA美術館の展示室は2階から1階へと見て回るような設計。
まずは2階の常設展の部屋に、いきなり国宝・色絵藤花文茶壺。
フラッシュを焚かなければ撮影してもいいとの事なので、有難く撮らせていただいた。
その他の一般展示も姫路城、タジマハル、スフィンクス等の絵だったり、びじゅチューン!に関連があるものを意図的に出しているのだろうか、というラインナップ
次に1階に降りると、ここからが本格的に井上涼展の展示。
入口には画面で流れるびじゅチューンの映像と、中毒性のある井上涼さん作の歌が流れ、それに見入る多くの子供連れ。
そしていきなりの国宝・尾形光琳作 紅白梅図屏風。
このMOA美術館所蔵の国宝・紅白梅図屏風は、例年梅の咲く2月前後にのみ公開されているので、2月というとなかなか熱海まで足を運べるタイミングも無く、今回初めて夏の時期に公開されたタイミングで我々も実物を見に足を運んだというもの。
尚、今回の井上涼展は会期8月27日まであるのだけれども、紅白梅図屏風の本物が展示されるのは8月18日までで、それ以降は複製が展示されるとの事。
これまた撮影可能との事なので、写真を撮りつつ肉眼でもじっくり鑑賞。
こちらは紅白梅図屏風をモチーフに井上涼さんが描かれた新作屏風。
びじゅチューン!のキャラクターたちが色んな所に散りばめられ、子供は大喜び。
次に、びじゅチューンで取り上げられた作品やその関連の展示。
特に良かったのが洛中洛外図屏風で、とても至近距離で見る事ができるので細部までじっくり観察する事ができた。
作品の横には絵の中に何が描かれているのかの説明もあって、祇園祭の長刀鉾や船鉾・傘鉾などが今と変わらぬ姿で描かれているのがよく分かったり、色々と見所が多い。
びじゅチューンの撮影で使われた小道具や、井上涼さんの新作映像など、見所沢山の展示を見た後はおひるごはん。
美術館内の庭園の中にある二條新町 そばの坊さんでざる蕎麦を。
店の前に戸隠の文字があったので期待して入ったのだけれど、熱海でこんな美味しいお蕎麦が食べられるなんて、思いがけず嬉しくなるお蕎麦。
井上涼さんも美味いとツイートしていたけれど、美味しいそばって一言「美味い」って言い切りたくなるものがある。
お昼はMOA美術館に立ち寄りラストおそば。(美術館は熱海駅からタクシーで7〜8分ほどです。だいたい千円) pic.twitter.com/F2BMxGscnq
— 井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) July 21, 2019
お腹を満たし、デザートは館内のカフェで展覧会コラボメニューのザパーンドプーン ソフトクリーム。
びじゅチューン!で取り上げられた葛飾北斎の富嶽三十六景神奈川沖浪裏をイメージしたソフトクリームはなんとも爽やかな甘味であった。
最後に美術館から見る熱海の海を目に焼き付ける。
どこまでも青く、綺麗。
遠くに見えるは熱海城。
ゴジラファンとしては昭和37年のキングコング対ゴジラの舞台として、いやがうえにも気持ちが高ぶる。
熱海城は、観光客を集める目的で昭和34年に建てられた史実には無い城。ランドマーク。
建てられた3年後にゴジラに壊されているあたり、その時代時代のランドマークを破壊するゴジラ映画の歴史がゴジラシリーズ3作目にして早くも現れているのだと胸が熱くなる。
熱海城といえばもうひとつ、その城下にあるのが国内唯一となった秘宝館。
この旅の帰りに熱海駅で「秘宝館」と大きくロゴの入ったトートバックを下げた若い女性が彼氏を連れて歩いているのを見かけたけれど、今や若い人にはポップなカルチャースポットなのだろうか。知らんけど。
かくいう私も、学生時代にサークル旅行で別府に行った時に、今は無き現地の秘宝館に男子大学生ばかりで連れ立って行った事を思い出す。
あの時の学生時代の淡い思い出と、単純に昭和的文化の名残を求めてここも一度は訪れてみたいもの。
話が脱線したが美術館を後に、帰りはバスで熱海駅へ戻る。
伊豆東海バスの路線バスは、つづれ折りの連続ヘアピンカーブを結構な速度で走る。
車内は満席で、通路に立って乗車していたので、カーブのたびにふんばって、足腰が鍛えられたというもの。
今回の旅は、JR東海ツアーズさんの往復日帰りプランを利用。
新幹線の往復と、選べる施設の利用券と、熱海市内のバス乗車券がついて、普通に新幹線の往復切符を買うより安いという、一体どういうシステムになっているのかよく分からない代物(多分旅行会社の団体扱い切符だからであろう。知らんけど)。
事前申し込みで乗車列車指定変更不可なので、少し時間が余ってしまった。
という訳で、駅前を少しだけ散策。
今や首都圏からの個人客やインバウンドの外国人観光客などで持ち直し、駅前は人で溢れているこの街だけれど、やはり昭和時代の遺構はまだまだ残っているようで、いやあ前から思っていたけれどここは一度じっくりカメラ片手に歩かないといけない。
伊豆から鎌倉へ向かう際に、毎回素通りするんだけれど、次は熱海を撮り歩いて夕陽の時間に鎌倉へ、という工程を組んでみようかとも思う。
駅前を一回りし、最後は駅ビルで土産を物色。
石舟庵、間瀬、村の駅と、いつも中伊豆あたりで見慣れた店名や、東伊豆の煮付けが美味しい徳造丸など、並ぶ文字を眺めるとやはり熱海は伊豆だと改めて思わされる。
いや、地理的には神奈川の方が近いイメージがあるものでね、どうしても。
今回は村の駅で生わさびとしいたけを購入。
帰宅して巨大なしいたけをバターで焼いて、わさびをすりおろして醤油をたらして、まあ間違いなく美味いわこんなの。
美味いといえば、その日の夕食用に熱海駅で購入した駅弁。
東華軒の金目鯛西京焼弁当950円。
東華軒というのは小田原の駅弁屋さんのようだけれど、まあこの価格で肉厚の金目鯛が2切れ入っていて、味も濃厚で大満足。
熱海、色々と良かったなぁ。
今度は気候のいい時にじっくり訪れてみたいものである
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