6月のある日。
夜に名古屋で用事があったので、せっかくだからと早朝に京都を出て、夜までの時間久しぶりの鉄道一人旅をしてきた。
まずは東海道線を東へ。
通常、京都から名古屋へ在来線で行くのなら米原~岐阜~名古屋と東海道線を使うところなのだけれど、今回は夜まで時間に余裕がある一人旅なので草津で電車を降りる。
2分の乗り換えで草津線に乗り換え。
既にホームに到着していた草津線は、車体一面が真緑に塗られた113系。
学生時代は通学で湘南色の113系によく乗っていたものだけれども、この色は本当に見慣れない。
思いがけず半自動扱いだったドアのボタンを押して車内に入ると、当時見慣れたセミクロスシートではなく223系と同じ転換クロスシートの光景に戸惑う。
そういえば113系に乗るのなんて何年ぶりだろう?
知らない間に改造してあったという事なのだろうけど、自分がいま何系の電車に乗っているのだか分からないような感じになってしまう。
草津駅を定刻に発車した電車は、野洲川、杣川に沿うように一路東へ。
草津線は20年位前に一度乗ったきりで、沿線の印象がまったく記憶になかったのだけど、田園風景の中を軽快に走る路線で、京都からわずか30分とかからずこんな車窓を堪能できる路線があるとは思っておらず、あっという間に気に入った。
そういえば草津線といえばSHINOBI‐TRAINなるラッピング電車が走ってるらしく、対抗列車とすれ違う度に車両を眺めてみたんだけど今回は出会えず。
すると数日後、京都線内で草津線から直通運転していたSHINOBI TRAINに偶然乗ったと妻から連絡を受けて「ぐぬぬ」となったのである。
なんでも、吊広告なども凝っていたそうで、これは一度乗りたいというもの。
伊賀鉄道の上野市駅でもこんなのあったなぁ、という感じの忍者に見送られ、4分の乗り継ぎで今度は関西線亀山行きに乗り換え。
ここからは2両編成のディーゼル車。
加太越えと呼ばれる峠越えの路線を、キハ120形の唸るディーゼル音と共に越えて亀山で下車。
名阪間の鉄道輸送が東海道線より関西線の方を主力として使われていた頃の名残か、とにかく広い構内に長いホーム。
そこに寂しく佇む2両編成のディーゼルカーを背に改札を出る。
乗車時に購入した普通切符はここまで。窓口でこの切符を購入。
亀山はもう完全に中京圏内。そんなに賑わった駅でもないのだけれど、赤福の取り扱いがあるよう。
朝食に、と思ったけど生憎入荷前。
切符を買ったら次の列車まで30分程あったので、駅前を少し歩いてみる。
大きな鳥居が存在感たっぷりの駅前ロータリーは、しかし閑散としており、多くの店舗が人の気配も無く静かに佇んでいるのは早朝という理由だけではないだろう。
駅前ロータリーを出てすぐのところにも、このような明らかに廃墟と思われる建物があったりして、静かな興奮を覚えてしまう。
亀山といえば、シャープの工場があった頃はこの駅前もそれなりに賑わったのかなと想像するのだけれど、現状はご覧の通り。
高度経済成長の時代を終え、交通の要衝からも外れた地方の駅前のどこにでもありそうな光景に心を痛めながら再び改札をくぐると、やってきたのは個人的に馴染み深いJR東海色の313系。
さきほどのキハ120とはうって変わって軽快に北上し、30分とかからず四日市へ。
(続く)